地下鉄サリン事件など、一連のオウム真理教事件の捜査に関わった元警視庁捜査一課長の寺尾正大(てらおまさひろ)さん。
2021年1月24日に78歳で逝去されていたことが発表され、改めて寺尾正大さんが残してきた数々の功績に注目が集まっています。
その指揮官としての能力の高さからなんと本やドラマでもその名前を見かけることができる寺尾正大さん、今回はその奥深さについて迫っていきます。
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【寺尾正大】家族写真とこれまでの経歴(学歴)
寺尾正大さんは1942年2月新潟県新潟市生まれ、元々は民間企業に勤務されていました。
ドラマなどでもおなじみの警視庁捜査一課の長を務め、その指揮官としての能力の高さから「ミスター1課長」という愛称もついたほど!
世の中を震撼させた地下鉄サリン事件をはじめ、数々の大事件の陣頭指揮にあたってきた日本警察を代表する功労者です。
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— NHKニュース (@nhk_news) February 10, 2021
激動の昭和から平成にかけて警視庁捜査一課の最前線で活躍していた「一人の警察官」の逝去が報道されたことは、各方面から驚きの声が上がっています。
平成生まれの方にとっては「地下鉄サリン事件」といってもなかなかピンとこなかったり、教科書の中の話のようで少し感覚が掴みづらい部分もありますよね。
寺尾正大さんがいったいどんな人でどんな事件に携わってきた人なのか、これから詳しく解説していきます。
まずは生前の写真と経歴について見ていきましょう。
警視庁勤務時代の写真と家族
現在は各都道府県ごとに1つの警察本部が置かれていますが、寺尾正大さんは民間企業の勤務を経て1966年に東京都の警察・警視庁へ入庁します。
捜査一課は刑事ドラマでもおなじみのとおり「殺人、強盗、暴行、傷害、誘拐、立てこもり、性犯罪、放火」などの凶悪犯罪を扱う部署で、その勤務内容はとにかくハード。
この仕事の特殊性のため残念ながら写真はあまり残っておらず、指揮官として現場捜査へ出た際の貴重な写真が数点残っているのみとなっています。
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また、寺尾正大さんの家族についての情報も公表されておらず写真なども確認することができませんでした。
犯人などから逆恨みをされて家族に危害が及ぶ危険性が極めて高い立場であるため、国民だけでなく家族のこともしっかりと守られていたことが分かります。
そんな寺尾正大さんは新潟県新潟市出身、大学は新潟大学人文学部を卒業されているとても優秀な方です。
言わずもがな新潟県内トップの大学である新潟大学を1964年に卒業した寺尾正大さんは、一度民間企業へ就職をされています。
警視庁入庁が1966年ですので、約2年程度新社会人として働かれていたことになりますね。
新潟県といえば上杉謙信や直江兼続はもちろんのこと、日本海軍の指揮官として活躍した元帥・山本五十六(やまもといそろく)の生まれ故郷。
常に冷静に状況を見極め的確な指揮をしていた寺尾正大さんの姿は、在りし日の山本五十六を彷彿とさせるものがあったのかもしれません。
そんな寺尾正大さんは1966年に警視庁へ入庁し、その才覚をメキメキと発揮していくこととなりました。
巡査から警視正へ!叩き上げの経歴がすごい
東京都の警察・警視庁へ入庁した寺尾正大さんは一番下の階級である巡査からそのキャリアをスタートさせ、いわゆるキャリア組とは異なる一般的な警察官としてデビューしました。
階級社会である警察には9つの階級があり、「巡査、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監」となっています。
警部までは昇任試験で上がることができますが、それ以上の階級の場合にはこれまでの実務経験などをもとに選考されることとなります。
階級別警察キャラ:コナン編#図解作成の基本
警察庁、警視庁の階級も是非。
警視監
服部平蔵
警視長
遠山銀司朗
警視正
松本清長
警視
黒田兵衛
警部
目暮十三
警部補
佐藤美和子
巡査部長
高木渉
巡査
モブ pic.twitter.com/B88MXONzXQ— 吉澤準特|ロジカルシンキング&図解 (@juntoku_y) May 4, 2020
この図で見ても分かるとおり、寺尾正大さんはなんと巡査から警視正まで叩き上げで昇任をしてきた実力者!元々は警備や公安をメインとしていますが、光が丘警察署長や新宿警察署長なども歴任しています。
そんな寺尾正大さんが関わってきた大きな事件として、まず取り上げられるのが地下鉄サリン事件をはじめとする一連のオウム真理教事件です。
特に日本最悪の大量殺人事件とされる「地下鉄サリン事件」は1995年3月20日に東京都内で発生した同時多発テロ事件で、猛毒のサリンが朝の通勤ラッシュ時間帯の丸ノ内線、日比谷線、千代田線の各車内で撒かれ多数の死傷者が発生しました。
化学兵器として使用される神経ガス・サリンはまさに「猛毒」という名のとおり、呼吸器系からだけでなく皮膚からも吸収される極めて殺傷能力が強いものとなっています。
この大都市・東京で起こった無差別テロ事件の陣頭指揮にあたった寺尾正大さんの心中を思うと、言葉では言い表せないほどのご苦労があったと察するばかりです。
この他にも1981年から1982年にかけてアメリカ・ロサンゼルスで発生したアジア人女性殺害事件の「ロス事件(疑惑)」や、1986年にトリカブトの毒を使った保険金殺人事件である「トリカブト事件」でも捜査指揮官として活躍しました。
まさに昭和から平成にかけての大事件を歴任してきた寺尾正大さん、その現場からの叩き上げだからこそ分かる的確な指揮能力を発揮しながら後輩育成にも力を入れておられたのかもしれませんね。
数々の功績を残しながら後輩育成にも力を入れていた寺尾正大さんは、実は本やドラマでもその名前を見かけることができるのです。
【寺尾正大】関連するオススメ本とドラマを紹介
捜査一課長というハードな環境で、数々の大事件の指揮にあたってきた寺尾正大さん。
その功績から「ミスター1課長」という愛称がついていたことからも変わるとおり、実は本やドラマでもその名前を見かけることができます。
ここでは寺尾正大さんの考え方や生き様に少し近づくことができるかもしれない、オススメのアイテムをご紹介します。
本:「捜査指揮ー判断と決断ー」(2007年)
2007年に発売された東大法学部卒・警察庁OBである岡田薫さんの書籍「捜査指揮ー判断と決断ー」に、寺尾正大さんは協力という形で参加をしています。
いわゆるキャリア組と呼ばれる警察庁出身の岡田薫さんとノンキャリアの寺尾正大さんですが、その共通点としては数々の現場指揮にあたってきたこと。
「捜査指揮官に必要なのは的確な判断力と決断力」という言葉のとおり、外からでは見えない刑事捜査の裏側やその考え方について触れることができますよ。
警察関係者だけではなく、自身の視野を広げる意味でもぜひオススメの一冊となっています。
ドラマ:「警視庁取調官 落としの金七事件簿」(2010年)
小野義雄さんの書籍を原作とした「警視庁取調官 落としの金七事件簿」は、警視庁捜査一課で「落としの金七」の異名を取った実在の刑事・小山金七の生前の活躍を描いた作品です。
ここでは「警視庁捜査一課長・寺西正大」として、故・大杉漣さんが寺尾正大さんを演じていました。
きっと今頃は、天国でお互いにお酒を飲み交わしているかもしれませんね。
ドラマでは柳葉敏郎さん、石黒賢さん、岸本加世子さんなどそうそうたるメンバーが出演!寺尾正大さんの携わった事件について、ドラマを通じて理解していくことができます。
まとめ
激動の次代を捜査一課長として駆け抜け、晩年には後輩育成のアドバイザーとしても活躍していた寺尾正大さん。
普段なかなか表舞台に出てくることのない警察官の活躍は、今改めて注目が集まっています。
寺尾正大さんのご冥福をお祈りいたします。